Museums in Chiba
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おもしろ豆知識

絵馬堂は美術館
 最近、お寺や神社で小さな絵馬を販売しているのをよく見かけますが、合格祈願に利用することが多いようですね。
 ところでむかしは、大絵馬とよぶ1メートルも超す大きな絵馬の奉納が流行しました。こうした大絵馬をいくつも掲げておく場所がお寺や神社にある絵馬堂です。
 大絵馬はその時代の一流絵師の手によるものが多く、それも不特定多数の参詣者が見て批評するので、絵師にしてみれば下手な絵は描けませんでした。このため絵馬堂は、無料公開された美術館的な役割を果たしていたのです。     
成田山霊光館 小倉 博
安食歯之妙薬
 突然歯が痛くなったとき、あなたならどうしますか。
 幕末期、下総国埴生郡安食村(現印旛郡栄町)で「安食歯之妙薬」なる薬が調合されていました。
 それではこの薬の「引札」に従い実際に使用することとしましょう。痛みを感じたらまず虫歯の穴に一粒詰めます。穴が小さい時は薬を砕いて塗ります。薬が溶けるに従い薬効が骨肉に突き通ります。まだ痛いなら内服薬です。痛みの元を小便にして体外へ排出しなければならないのです。それでもだめなら薬の量を増やします。どうです!「百的百中」の効果があったでしょう。
 附薬・服薬二品入って一包銀四匁。さあ、あなたも一包いかがですか。
県立房総のむら  渡辺 善司
ここは亜熱帯?房総の海  現生造礁性サンゴ
 私たちが“サンゴ”という言葉から思い浮かべることは、御婦人を飾る宝飾品であったり、熱帯の海中を彩るサンゴ礁であったりとさまざまです。
 しかし、サンゴがイソギンチャクなどと同じ腔腸動物という生物であることをご存じの方は多くないと思います。その祖先は今から6億年前に地球上に現れ、現在では八放サンゴと六放サンゴの仲間が生息しています。前者が宝飾品になるサンゴで、後者が礁を構成するサンゴです。
 房絵半島南端の館山市や千倉町、富浦町などの山中には6千年前に生息していたサンゴ礁の化石が広く分布しており、当時は一帯が海であったことが伺えます。さらに、周辺の海中には厳しい条件の中、現生の造礁性サンゴが生息しています。
県立房総のむら  新 和宏
郷土料理ってなんだろう?
 世の中には、知っているようで知らないことが意外に多いようです。「郷土料理」もその一つ。どんな書物をひもといても、「本当の郷土料理ってなんだろう?」という疑問には答えてくれません。
 じつはグルメブームの昨今、郷土料理のない地方にはお客さんがなかなか集まらず、なんでもかんでも郷土料理に祭り上げてしまったのが、今のご時世なのです。
 「郷土料理」が日本中にあふれる今、本当の郷土料理を見つけるのはみなさん自身かもしれません。そして、「この土地のこの味を守り続けたい」と思うものが、真の郷土料理としていつまでも受けつがれていくはずです。
県立房総のむら  上野 百代
美術工芸品と鬱金木綿(うこんもめん)
 鬱金木綿(うこんもめん)、濃い鮮黄色の布です。美術工芸品をそれぞれの箱に入れて収納する際にこの布袋に入れたり、包んだりしています。
 しかし、あの黄色の秘密が気になります。ウコンは薬用および染料として南洋方面から輸入され、また日本の暖地で栽培される多年草でショウガ科。根茎は黄色で粉末(ウコン粉という)にして用い、絹、もめん、羊毛、食品の黄色染料。カレー粉やたくあん漬け、三味線の弦などもウコンにより染めたもので、スパイスであると共に虫避けなど消毒作用があるとのこと。
 そういえば昔は赤ちゃんの下着やオシメに使われていたので、美術工芸品にもやさしい天然の文化財保存の機能を付加されたスグレ者だったのです。
県立美術館  米田 耕司
お墓のうえに建てられた城
 江戸時代の慶安元年(1648)、保科正貞(まささだ)という殿様は17,000石に加増されて陣屋を造ることになりました。適当な場所として選ばれたのが領内の上総国周淮郡飯野村(富津市下飯野)の、古墳時代の豪族たちのお墓である内裏塚古墳群のまん中。たて横200m前後の四角い濠で囲まれた飯野陣屋は、三条塚(前方後円墳)と稲荷塚(方墳?)のふたつの大古墳を取り込んで造られました。当時の絵図を見ると、古墳の壕を利用して池なども造られています。古墳の主はどんな気持だったのだろう。
 この飯野陣屋は、明治に入るまで保科氏が在城して、周囲の濠跡は「飯野陣屋濠跡」として県指定史跡になっています。
県立総南博物館  本吉 正宏
水族館の水
 水の生き物を飼育展示している水族館では多くの水が使用されています。当館でも4,800tのシャチのプール(オーシャンスタジアム)を始めとして全体では約10,000tの水を使用しています。海水は、約2kmも離れた岩場で汲み上げられ、パイプを通して水族館の地下にある1,500tの海水貯水漕に貯められます。この水は必要に応じて各プールに毎分4.5tのスピードで送ることができますが、これは家庭用のお風呂を2.6秒で一杯にできる能力です。
 また、一部は屋上にある高架水槽に入れられ落差を利用して常時使えるようになっています。さらに、水の温度についてもオーシャンスタジアムは16℃以下、マリンシアター(ペルーガのショープール)が13〜14℃など、それぞれのプールにおいて温度コントロールをしています。
鴨川シーワールド  前田義秋
植物園の展示替え
 房総半島南端の植物園には、大勢の人が温室いっぱい奇麗に咲いた花を求めて来ます。
 観賞温室には、熱帯花木や観葉植物など植栽してあるものの他、鉢植で展示してある種類があります。常に奇麗な状態になる様に枯葉や花ガラ取りなどの手入れをし、カラフルな花の多い鉢植えの種類は、見苦しくなる前に入替えます。花が短期間で終わる種類は頻繁に入れ替え大量な数と、多くの種類を短時間に替えるので大変な作業です。
 次の展示物の調達や替えるタイミング、栽培中の植物の生育も気になります。植物だけに予定どおりに行かず、気が抜けません。
千葉県南房パラダイス  石井 義雄
船の模型
 高瀬船というと森鴎外の小説で有名な京都の川船を連想されるかもしれませんが、利根川水系には江戸時代から昭和初期頃まで日本でも最大クラスの川船だった高瀬船が航行していました。
 流域各地の博物館では模型を使ってこの高瀬船を紹介していますが、大きく分けると船大工による模型と模型業者が作ったものとがあります。船大工が作った模型は、釘の太さなどが全体と同じ縮尺で作ることは不可能なので、頑丈そうに見えてしまいますが材質や木目などは本物と同じ様に作ってあります。また模型業者はプラスチックなどで作るので、材質は考慮されませんが全体が同じ縮尺でバランスよく作られています。
 注意して見学すると非常に面白いと思います。
県立大利根博物館  米谷 博
動産になった貝層
 貝塚の貝層断面は、大地の一部なので、発掘調査の時にしか見ることはできません。
 千葉市加曽利貝塚には、貝塚の貝層断面を見ることができる施設があります。しかし、カビ、ホコリ、薬剤などの影響で新鮮な貝塚とはいえません。本物の貝を使った模型も、実際の雰囲気はでません。
 何かいい方法はないかと思っていたところ、土層断面の剥ぎ取り転写法が開発されました。化粧のパックに似た原理で、薬剤を土層断面に吹きつけ、剥ぎ取るのです。断面の一皮だけですが、本物の貝層が「じゅうたん」のように持ち運べ、博物館内でも展示できるようになりました。いわば不動産が動産になったわけで、このような展示資料が最近ふえてきています。
市立市川考古博物館  堀越 正行
*執筆者の所属は、執筆当時のものです。