MUSEUMちば千葉県博物館協会研究紀要<第32号>
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2001年3月
千葉県博物館協会発行 |
| 【特集】地域社会と博物館 ―博物館友の会― <事例報告> |
| 市川博物館友の会とその活動 |
| 市川博物館友の会会長 南條信義 |
| 1 友の会の設立と組織 |
当会の設立は、昭和50年4月1日である。設立にあたり市立市川博物館(現市川考古博物館)の懇切な指導と協力があり、市内にはじめて文化活動主体の団体が誕生することになった。しかし、発足当初は市川博物館主催の講座や遺跡見学会への参加が活動の中心で会員も少なかったが、昭和57年に市立市川歴史博物館が開館すると、一般市民の関心が高まったためか、会員数が著しく増加している。さらに、博物館の館内に「博物館友の会入会案内」の掲示が許可されたこともあり、現在では会員数が265名にまでなっている。
会費は、単年度制の年会費で一般会員(18歳以上)2,000円、青年会員(18歳未満)1,000円、賛助会員3,000円となっている。私たちは、次年度への継続会員を注視しているのであるが、当初は2/3程度であったものが、現在は3/4から4/5程度にまで上昇してきた。会員数の増加は、市川市が江戸川を挟んで東京都と隣接することと無関係ではなく、人口の増加と会員数の増加に相関関係があるのかもしれない。新天地となった市川の歴史や遺跡に関心を寄せた入会者も多いのではなかろうか。一方、次世代を担う若年層の入会に乏しいことが懸念され、対応策として活動内容の見直しも必要ではないかと思案している。
当会の役員は、会則で会長1名・副会長2名・幹事若干名・監査2名となっているが、部会制をとっているために、実際には部会長を置いている。役員は、任期1年となっており、再任も認められている。当会の組織は、考古・歴史・民俗・拓本の4部会と編集部で運営されており、編集部は会報「かいづか」の編集にあたっている。
会の運営大綱や行事内容は、すべて役員会で議決するが、行事案内の作成は各部会の幹事が博物館の指導を仰ぎ、それを役員会に提案することになっている。役員会では、行事を含む活動の経過報告を行っており、年度末に4月の総会に提出する行事報告・決算報告・監査報告、次年度の行事案と予算案を審議している。行事案の作成にあたり、幹事は机上の参考資料のみでなく、候補場所の実地見聞も欠かせないし、高齢参加者への気配りも必要である。行事案の作成に万全を期すためには、前述したように博物館側の豊富な知識、意見等を充分参考にしている。
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| 2 各部会の活動 |
当会の活動を振り返ってみると、創設後まもなく「縄文土器づくり」の行事がはじまり、平成12年度で第46回を数えるまでになった。「縄文土器づくり」は、考古博物館学芸員と経験豊富な会員の指導により、@用土づくりA成形(形
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考古部会の縄文土器づくり
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づくり)B磨きと薪集めC焼き上げの4工程で実施しており、実物の縄文土器を観察しながらつくれることに大きな特色がある。@からBまでの工程は毎週日曜日に実施し、BとCの工程の間は土器の乾燥のため、2週間ほど期間をあけている。募集定員は、場所と粘土の都合から毎回20名とし、電話で申し込みを受け付けていたが、近年では陶芸ブームの影響もあって応募者が多いことから、往復はがきで申し込んでいただき、抽選で参加者を決定している。完成した複製の縄文土器は、参加者の意思で持ち帰り自由であるが、一部は沸騰までの時間を計測する「煮沸実験」やイベント色の強い「いも煮会」で活用されている。考古部会では、このほか藤づるを利用した「籠編み」や「勾玉づくり」などを実施しており、考古博物館学芸員の協力を得て、一般向けの小冊子「堀之内貝塚のはなし」や「下総国分寺のはなし」などを刊行している。
歴史部会では、通年行事として「国府台合戦」や「市川・船橋戦争」などを数年単位で研究してきた。近年では鎌ヶ谷市から市川市に通じる農業用水で、畑作物の運搬などに利用した内匠堀を研究し、研究成果をまとめた『・市川の郷土史・内匠堀の昔と今』を刊行し、好評を得ている。現在は、通年行事に「寺社勉強会」を据えており、毎回20〜30名の参加者があり、総論的な内容から各論的な内容に入ろうとしている。
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拓本部会の初心者講習会
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拓本部会は、毎年4月に初心者講習会と銘打って、20名程度を対象とした「墨づくり・タンポづくり」や、初心者向けに製作した対象物で採拓実習を行い、野外の採拓に出かけている。野外では、日光や風などの気象条件によって、室内とはまったく異なる環境になることから、慎重な配慮が必要となる。野外採拓では、採拓対象物の現状維持にとくに注意を払う必要があり、この点をないがしろにすると貴重な石碑や道標などを傷めることになってしまう。最近、寺院や公園などで採拓が拒否されるのも、このことが大きな原因の一つと考えられる。この問題については、拓本部会の部会長と会員が腐心しているところでもある。
各部会とも以上の行事のほか、これまでに「土器作品展」「石仏写真展」「拓本展」「市川のまつり展」などの展示会を開催しており、各部会が一致団結した形で、昭和60年に設立10周年記念展『わたしたちの市川展・郷土の新たな掘りおこし』、平成8年に設立20周年記念展『地域文化を学ぶ』を開催している。また、最近では見学会が大好評のために、案内役の幹事も増員の必要があるほどである。参考までに本年度の見学会を紹介しておきたい。考古部会では、「宮城県里浜貝塚及び多賀城址」「青梅市郷土博物館」の見学会があり、とくに前者はスライドの映写を含む報告会もあり、参加者の好評を博している。歴史部会では、「四谷・新宿方面」「金沢文庫・称名寺方面」「大鳥神社・目黒方面」「流山・布施方面」の見学会を実施した。民俗部会は、光町広斉寺の国指定無形文化財「鬼来迎」の見学会をはじめ、旧小金牧の中野牧の見学会、市内大野町に伝わる「にらめっこおびしゃ」の見学会を実施した。拓本部会は、下谷・根岸方面で子規庵・書道博物館・谷中霊園を見学した。当会の恒例行事の一つで人気の見学会に、毎年正月2日の「七福神参り」があり、毎回80名前後の参加者がある。また、市有バスを利用した見学会があり、平成12年度は下総神崎神社、西の城貝塚、滑河観音などを見学したが、参加希望者が多数に及んだため、50名の定員を抽選で決定した経緯がある。
なお、当会の活動に対して、平成元年に市川市から市制55周年を記念して感謝状が贈られたり、平成4年に千葉県文化財保護協会から文化財保護功労賞・団体の部で表彰されるなど、地域社会への貢献が公に認められたことを付記しておきたい。
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| 3 博物館との協力関係 |
会員への行事案内は、毎月発行する「友の会のお知らせ」を郵送して徹底をはかり、市川市発行の「広報いちかわ」にも案内を掲載し、一般市民の参加を呼びかけている。このことは、当会が会員だけのものではなく、広く市民に開放されていることを示しており、私たちが「市川市の文化活動の核」と自負する由縁である。一般市民が当会の行事
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考古博物館と共催の講演会
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への参加を機に入会されることを願っている。
考古部会の行事は考古博物館、歴史・民俗・拓本の3部会の行事は歴史博物館に申し込みの受付をお願いしている。考古博物館には、友の会事務局を設置させていただき、書類・筆記用具など事務用品の保管、お知らせ・会報の保管はもとより、敷地内に専用倉庫を提供していただいている。また、拓本部会が歴史博物館の倉庫の一角を借用し、採拓道具の保管をお願いしている。
行事の実施にあたり、考古部会が毎年実施している体験学習「縄文土器づくり」は、考古博物館との共催行事であり、学芸員の指導を欠くことができないし、歴史部会・民俗部会の行事も歴史博物館学芸員の指導を欠くことはできない。また、講演会や見学会の開催に際して、両館の学芸員に講師や現地説明をお願いすることもある。
また、近年各地で考古学上の注目すべき発掘成果があがっており、こうした成果をいち早く知りたいという会員から要望が増えている。考古・歴史博物館では、単独の講演会を開催することもあるが、近年では予算難から講師招聘が難しくなりつつあることから、平成12年度は様々な手続き上の困難を乗り越えて、考古博物館と共催で有料の講演会をおこなった。第1回目は、7月23日(日)に『飛鳥の謎に挑む』と題して、奈良国立文化財研究所の松村恵司氏をお招きし、近年話題になった飛鳥池・亀形石・富本銭のお話を伺った。また、第2回目は12月3日(日)に『秩父原人を追う』と題して、(財)埼玉県埋蔵文化財調査事業団の栗島義明氏をお招きし、埼玉県秩父市の小鹿坂遺跡・長尾根遺跡の発掘成果のお話を伺った。後者は、考古・歴史博物館が本年度に開講した市川歴史カレッジの公開講演会であり、2回の講演会とも180名を越える多数の参加者があり、大盛会のうちに終了することができた。
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