Museums in Chiba
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MUSEUMちば千葉県博物館協会研究紀要<第32号>
2001年3月
千葉県博物館協会発行
【特集】地域社会と博物館 ―博物館友の会―   <事例報告>
鴨川シーワールド「動物友の会」の現状
鴨川シーワールド 勝俣悦子
1 水族館における教育普及活動としての「友の会」
 動物園や水族館の使命はレジャー、調査研究、保護、教育の4つであり、博物館相当施設として楽しく学べるのが特長で、野生動物の生理や生態を一般に知らせることが動物園や水族館の使命といえます。欧米においては動物園・水族館は教育施設として古くから機能していますが、日本においては、本来博物館と同様に社会教育施設と考えるべきところが中には、リクレーション機能だけが重視されたり、動物を見せるという興行的な性格から博物館とは異なった扱いもあるようです。
 最近では動物園水族館の統合機関である世界動物園機構と世界自然保護連合下の飼育下繁殖専門家集団が世界動物園保全戦略を発表していて「種の保存」と「環境教育」を本格的な課題として掲げており、21世紀に向けての取り組みが始まっています。

 さて、それでは実際に日本の水族館で行われている教育普及活動の現状はどのようなものでしょうか。
 日本動物園水族館協会に加盟している水族館が毎年1回参加して行う技術者研究会で実施した宿題調査報告「水族館の教育普及活動の調査」(日動水加盟水族館60園館のうち59園館のアンケート調査結果1992年)よりかいつまんでみる水族館における教育普及活動の現状は、
1 27園館(45%)で教育活動を担当する職員を配置している。しかし、専任として配置しているのは2園館で、多くの場合他の業務との兼務である。
2 教育普及活動を担当する職員は、学芸員や教職の資格を保有しており専門の教育を受けたものが携わっている園館がほとんどである。
3 レクチャールームを持つ園館は31園館と比較的多いが施設規模としてはその75%が収容数100名以下の小規模なものである。
などの結果が出ています。つまり、動物園や水族館での教育普及活動や友の会運営については公立と民間企業の差もあると思われますが、飼育係という主業務のかたわら行っているのが現状のようです。この調査の結果は動物園水族館雑誌 Vol.35(2)に「水族館に於ける教育活動の調査」(1994年)として掲載されているので詳しくは参照していただきたい。

2 シーワールド動物友の会の変遷

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会誌「さかまた」も55号を迎えた

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「さかまた」の内容

 それでは、鴨川シーワールドの「動物友の会」はどのように運営され、地域と関わり合ってきたのでしょうか。
 当館の「友の会」は、当館がオープンした2年後の昭和48年3月24日に発足しました。その目的は飼育現場の飼育係と交流を深め知識の啓蒙を図ることで、東京都動物園協会の「友の会」をモデルとして始められました。
 会則を見ると、会の目的は「動物愛好者との相互理解協力と親睦を図ること」とあり、毎月1回の例会は主に子供たちを対象として最終土曜日の午後に2時間行われました。
 この当時の会報「さかまた」にある友の会便りを見ると例会の内容は、質疑応答、レクチャー、映画上映などを行っており、飼育担当者の友の会にかける熱意が感じられ、活発な活動を行っていたことが分かります。友の会会員の特典は、1年間無料で入園することが出来きるほか、割引券の交付、年2回発行する会報「さかまた」の配布、毎月1回行われる月例会及びその他の行事に参加することなどで、動物愛好家やイルカ好きを増やしていったものと思われます。現在の月例会は、学校の週休2日制に合わせ第2土曜日の10時から12時までとしています。
 月例会の内容は水族館の強みである生きている本物に会える楽しみ、触って確かめる楽しさを体験することを主眼をおき運営されています。イルカのヒフの感触を確かめたり、シャチに特大の風船を脹らませてもらい一回の呼吸量を調べたり、ウシガエルのジャンプ力をはかったり、ベルーガと息止め競争をしたり、カメの体重や歩く速さを計ったりなどの工夫をしており、熱心な会員は動物に関する知識が大変に豊富になっているようです。
 また、友の会活動の一環として、夏休みには言うなれば入門編というべきサマースクールを行い、知識の啓蒙を図っています。サマースクールは、午前10時から午後3時までの5時間を1クラスとし、海の動物や身近な生物の飼い方まで実験や体験を通して学

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シャチの風船ふくらまし

ぶようにしています。サマースクールは地域の子供たちに大変に人気があり、1回40名のクラスを8から9回を行い、毎年およそ400名の子供たちが参加します。参加者は鴨川市周辺の1〜4年生が多く、5〜6年は参加が少ない傾向がありますが、中には小学校6年間を毎年参加している子供も見うけられます。
 月例会の運営は、飼育担当者が順番で行ったり担当者を決めて実施してきました。グラフを見ると分かるように一時会員数が減った時期があります。そこで、平成5年に開発係が教育普及活動(友の会、サマースクールの運営、特別展の企画実施)、展示の開発、動物の採集などを担当することになり、メンバーは飼育部

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カメの体重測定

門の経験者4人で構成されました。当然、友の会の準備に費やす時間も増し、年間のテーマを決めたり月ごとの内容もあらかじめ決めて行うことが出来るようになり内容の充実とともに、参加者数の増加や意欲の高まりも見られました。また、親子同伴可能としたので、母親と幼児の参加も増えました。(タイトル一覧参照)
 しかし、世相と相まって平成11年には開発係が廃止となり、これ以前と同様に飼育担当者の中から友の会やサマースクールの担当者を決めて行うシステムとなり、現在に至っています。

 2000年からは動物友の会は一歩踏み出て、「ドルフィンドリームクラブ(DDC)」という愛好会という形に変更されました。このDDCの会員数は現在400人程で、会員に対する特典を検討しているところです。そこで、会員に対し行ったアンケートより鴨川在住の会員の声を抜粋してみます。
○幼い頃から幼稚園、保育園、学校の行事、また家族と共に何度も足を運んでいます。
 動物の生態を学ぶことは子供にとって自然への慈しみを感じる良い機会となっていると思います。以前友の会に参加しながら大きくなった子供を見てそれを感じます(現在20才、18才)
○ハロウィンパーティー、クリスマス会など大人も子供も楽しめるイベントをやって欲しい。会報の内容が難しい。(子供に分かるものにして欲しい)
○近くの小学校とタイアップして魚の写生会とか展覧会はどうでしょう。小学校だけでなく、老人保健施設や障害者団体でも。

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レクチャーホールにて解説中
○小さな子供向けのイベントをやって欲しい。
 特典が分かりづらい。イベントや半額券などを入れて欲しい。毎月DDC会員の日をつくって他のメンバーとの交流を図って欲しい。
○3才になる子供に経験させたいと思い入会。
 自分自身子供の頃に友の会に入会し、良い思い出となっている。イベントが目的ではなく入園のみで利用している。アザラシの出産、アシカの育児等リアルタイムの情報が欲しい。

 以上のように、親子2代にわたっての会員がいらっしゃるなどうれしいお便りや要望が数多く寄せられています。これらの様々な要望に答えたり、内容を充実するために現在社内で検討が加えられているところです。

3 問題点と今後の課題
 友の会活動は周辺住民の参加があってこそ地域に密着したものになると思われます。飼育担当者は動物を飼育する専門職であるため、とかく職場内での活動が主体となって地域との接点が希薄になりがちな傾向があり、地域での人的交流が大切な友の会活動においては一つの問題点となっていると思います。
 友の会の活性化には「人が好んで集う場所造り」が必要で、友の会月例会へ行くと「イルカについての勉強ができる」といった学校教育的または知識を啓蒙するといった態度では、なかなか集まらないのが現状です。そこで、月例会の中で餅つき大会やスイカ割りなど様々なイベントを取り入れ楽しんでもらうよう努めています。
 しかし、本来は教育普及活動としてのプログラムに沿った運営や内容があるべきで、教職経験者の参加などの積極的支援が得られるならば効果的な内容の改善に結びつくものと期待しています。
 また、人口密度が少ない南房総では地域の枠を少し広げゾーンとしての友の会活動が必要と思われます。一博物館だけでなく時には他の博物館の友の会との交流などのチェーン化をはかることが、友の会活動の一層の活性化に結びつくのではないでしょうか。

グラフ

動物友の会月例会テーマ・タイトル一覧
平成6年度 平成7年度
テーマ 発見(形態、生理) 体の特徴
総合タイトル
4月 子から親への大変身 比べてみようイルカのおはだ
5月 アシカのあしはどんなアシ? おじさんにはヒゲがある
6月 タコ・ヒトデ・コバンザメ… 水の生き物のハダ色は何色?
7月 夜の水族館探検 水の生き物ハナくらべ
8月 新しい仲間 −モモイロペリカンがやってきた− 水の生き物実験特集
9月 イクラは誰の子? 水の生き物クイズラリー
10月 イルカの見た海(1) イルカの耳はどこにある?
11月 イルカの見た海(2) への字、とんがり、どっちむき?(1)
12月 ぼくらは一緒に生きている への字、とんがり、どっちむき?(2)
1月 ぼくらはジュニアトレーナー への字、とんがり、どっちむき?(3)
2月 ぼくらはジュニア飼育係 イルカのヒレは魚と違うぞ!
3月 クイズだ魚・魚・魚!! 1年間のおさらいクイズ

平成8年度 平成9年度
テーマ 生息環境と生物 分類群別特徴
総合タイトル 鴨川シーワールド動物図鑑
4月 川と生き物たち イルカやクジラのなかま
5月 湖や沼の生き物たち アシカやアザラシのなかま
6月 河口の生き物たち ラッコ
7月 砂浜の生き物たち とり(ペンギン・ペリカン)のなかま
8月 磯の生き物たち おさらいクイズ
9月 水の生き物クイズ大会 は虫類・両生類のなかま
10月 ひがたの生き物たち 魚のなかま
11月 鴨川の海の生き物たち ウニ・ヒトデ・ナマコのなかま
12月 黒潮と生き物たち エビ・カニのなかま
1月 川のみなもとと生き物たち 貝・タコのなかま
2月 冷たい海と生き物たち イソギンチャク・クラゲのなかま
3月 1年間のおさらいクイズ シャチの赤ちゃん&おさらいクイズ

平成10年度 平成11年度
テーマ 飼育 行動
総合タイトル 水の生き物飼育手帳 水の生き物・動きのひみつ大発見!
4月 淡水魚 遊泳
5月 海水魚 潜水
6月 マンボウ ジャンプ
7月 タカアシガニ 歩行
8月 ロッキーワールド 呼吸
9月 おさらいクイズ おさらいクイズ
10月 ヒレアシ類 摂餌
11月 イルカ クリーニング
12月 ラッコ 睡眠
1月 シャチ・ベルーガ 繁殖
2月 ペンギン 成長
3月 1年間のおさらいクイズ おさらいクイズ

平成12年度はタイトルを「水族館探検」とし飼育施設をブロックに分け、
飼育動物と飼育施設の紹介、飼育作業の見学や体験を行っている。 

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